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旅館・ホテルの宿泊予約システムを考える – じゃらんホームページダイレクト編 その2-

先ほどの「旅館・ホテルの宿泊予約システムを考える – じゃらん ホームページダイレクト編 その1-」ではじゃらん ホームページダイレクトの良い点を見てきました。

「在庫の一元管理と共通のプラン作成で管理の手間が省け、利用料も無料。お客様も使い慣れていて使いやすい。」という素晴らしい予約システムを、何故じゃらんネットが無料で提供するのかと言う疑問点をデメリットと一緒に見てみましょう。

じゃらんホームページダイレクトのデメリット

宿独自のプランを設定できない
宿のサイト限定でキャンペーンを行なうことが出来ません。じゃらんネットと共通のプランで、プラン作成の手間が省けるのは素晴らしいですが、逆に宿限定のプランを作ったりと柔軟なプラン作成が出来ません。

予約時に必要な会員登録(メールでの本人確認が必要)が面倒
じゃらんネットのシステムは会員登録が必要なため、場合によっては予約が激減する可能性があります。メールでの本人確認が必要なこのシステムはじゃらんネットなどの大手が使う分には問題ありませんが、宿単独で使用する場合に会員登録を要求するとお客様はとても面倒に感じるはずです。会員登録についてはもちろん良い面もあります。しかし、宿の予約システムとして使用する場合は注意が必要です。

じゃらんネットにお客が流れる可能性も
じゃらんネットと同一のプランということは、宿のサイトとじゃらんネットのどちらでも宿泊予約が可能ということです。これはすなわち、宿のサイトで予約しようと思っていたお客様をじゃらんネットに取られてしまう可能性が出てくることを意味します。
お客様は本当に良く見ています。同じ内容でより安く泊まるために、色々なサイトを比較しています。(以前書いた「じゃらんネットのご利用は計画的に」もご参照ください)
じゃらんのシステムを使うことで、よりじゃらんネットが比較対象としてあがって来ます。このシステムが浸透すればするほど「このデザインはじゃらんネットと同じだ。じゃらんネットも見てみよう!」と言うお客様は増えていきます。そのときに料金設定だけでなく、お客様の持っているポイントや、5%のポイント還元のことまで頭に入れないといけません。「宿のサイトで予約できるプランはじゃらんネットでも予約できる」という大前提は、売り上げの割合にかなり大きく影響すると思います。

宿の貴重な客室在庫をじゃらんネットに出してしまう。
じゃらんネットが何故無料で予約システムを提供するのか。その答えはおそらくこれです。凄い勢いで売り上げを伸ばしているじゃらんネットですが、そのじゃらんネットがどうしても欲しくてたまらなかったのが繁盛期の客室在庫です。
盆や正月、GWや観光シーズンの休前日など、何もしなくても勝手に埋まってしまう日の在庫を、宿は自分のサイトや電話などで売ってきました。「放っておいても売れる日の在庫を手数料のかかるところに出すなんてとんでもない!」と言うのが宿の常識でした。しかし、この予約システムを無料で貸し出すことでじゃらんネットは喉から手が出るほど欲しかった在庫を手に入れることが出来るのです。

「そういう日の在庫は宿のサイトで売るように頑張るよ」と言う方もいらっしゃるかもしれませんが、その考えは甘いと言わざるを得ません。宿のサイト単体の集客力は、どんなに頑張ってもじゃらんネットには勝てません。そのじゃらんネットに在庫を出したとたん、宿が自分で売りたかった日から埋まっていくのです。

盆、正月、GW、ハイシーズンの休前日など、放っておいても売れる日というのは料金設定も高めのはずです。客室単価が4万、5万、もしくはそれ以上になる日の在庫をじゃらんで売ってしまうと、その手数料は物凄いことになります。例えば客室数20の旅館で平均客室単価4万のプランがじゃらんで10室売れれば、この日一日の手数料は10%+αなので4万円を越えることになります。「月々数万円もする予約システムは高い!」とじゃらん ホームページダイレクトに移行した結果、手数料が安くなるどころか大幅に増えることも覚悟しないといけません。

同じプランページデザインで他の宿との差別化ができるのか?
じゃらんホームページダイレクトを使用する宿が増えてくると、どうしても似たようなデザインのプランページがあちこちのサイトで見られるようになります。その時に同じデザインで他の宿との差別化が出来るのか?と言う点に疑問が出てきます。同じようなデザインで内容も特に変わらない・・・、そんな時にはより安いところへとお客様が流れていきます。価格競争に陥らないように宿の特色を大きく打ち出していかないといけませんが、同じデザインだとどうしてもその幅が小さくなってしまいます。

携帯からの新規予約が出来ない
現在ではPC用と同時に、携帯での予約も出来る予約システムが当たり前になってきました。じゃらんホームページダイレクトでも勿論携帯から予約することは出来るのですが、初めて利用するお客様で会員登録されていないお客様は携帯から直接予約することが出来ません。(PCの方で会員登録を済ませておく必要があります。)宿の予約というのは思い立ったときにすぐに予約できないとお客様を逃してしまいます。この点では携帯ですぐその場で予約できないというのは痛いです。(じゃらんのことですから、こういう点はすぐに対応してくることが予想されますが・・・・。)

じゃらんホームページダイレクトについて「ここはちょっと・・・。」と言う点はこんなところでしょうか。一番の問題はやはり虎の子の在庫をじゃらんに渡してしまうことですね。これが結果的に手数料の大幅増に繋がってくると思います。

じゃらんホームページダイレクトについて、散々悪口のようになってきましたが、もちろん上記が当てはまらないケースも多々あるかもしれません。どんなに手数料が増えようと、純利益が増えていれば問題無いのかもしれません。このシステムでうまくいきそうなのは以下のようなケースです。

じゃらんホームページダイレクトはこんな宿にオススメです。

1.客室数が少なく、じゃらんネットの増加分の手数料<管理する人の人件費の場合
客室数が少ない宿でもプランの設定をしたり、プランページを作成する手間は大きいところと変わりません。客室数が少ない場合は、このシステムを使うことで増える手数料よりも、管理する人の人件費の方が安くなる場合もあります。こんなときにはこのシステムは一押しのシステムになります。やったことがある方なら分ると思いますが、いくつもの予約システムを管理するのはとても手間がいることですから。一般的に、客室数が多ければ多いほどじゃらんネットの増加分の手数料は増えていきますので小さい旅館の方が向いているシステムだと思います。

2.とにかくわずらわしいことが嫌いな方。
予約システムの管理はとにかく面倒の一言です。少々手数料が増えても楽なほうがいいという方には使いやすさでは定評のあるじゃらんのシステムはオススメです。

3.メリットとデメリットを充分に理解した上で使うと判断された方。
メリットとデメリットを色々と書いてきましたが、その全てを受け入れた上で使うと判断される場合は勿論結構かと思います。宿によってさまざまな事情が絡んでくると思いますので、一概にこれがオススメとはいいきれません。

 

こんなところでしょうか。
じゃらんホームページダイレクトや楽天のR-with’sはメリットもデメリットも沢山あります。使用される場合は充分にその特性を理解されることをオススメします。

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